「結婚と家族のこれから 共働き社会の限界」を読んだ。文化的・歴史的背景から、女性進出や育児の問題を考えるきっかけとなる良い本。
- 作者: 筒井淳也
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2016/06/16
- メディア: 新書
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とても良い本でした
今、社会問題となっている女性の社会進出や、育児、少子化問題の背景やこれからどうなっていくのかを「家族」のあり方を通じて解説していて、とっても良い本でした。
- 結婚のあり方は、「食べること」「生活基盤」に大きく影響を受けている。生活基盤をしっかり持っていることによって、自由な選択ができる。
- 古代は家ではなくコミュニティに埋め込まれていたために、生活基盤がしっかりとしたため、男女平等で比較的自由だったらしい
- 律令制の税制制度によって家長に課税をする必要があり、家制度が生まれ、世襲制によって「血」が大事にされた
- 経済基盤=家だった時代では、経済基盤を握っている家長が絶対で、男性優位社会となっていた
- 経済基盤が、家から会社となることによって、経済基盤を個人が持てるようになり自由になった
- 「男性は外で働き、女性は家事・育児をする」という結婚生活が存在できていたのは、人類史上とても珍しいこと
- 家族がなくても生活できるという社会を作ることによって、気軽に家族を作ることができるようになるのでは?
これまでダイバシティ、女性の社会進出、ライフワークバランスなどを考えるにあたって、“今現在“の自分のまわりの環境・観測範囲の文脈をベースとして考えていたので、この本は「今現在だけでなく、過去からの背景からの流れ」や「身の回りだけでなく、社会的文化的背景」を交えて考えるきっかけを与えてくれた。
なぜ“家”が生まれたのか、なぜこれまで男性社会だったのか、工業化/会社が誕生することによって家族のあり方が変わってきた話や、家と仕事場の関係性の変化、共働き社会によって生まれる社会格差の可能性など、文化的な背景を追うことができた。
これらのテーマについて、これまでビジネス的な視点でしか見れていなかったけど、当然、社会学・文化学の研究もされていて、社会学・文化学的背景からの視点で、ダイバシティ・女性の社会進出・ライフワークバランスで考えて見るというのも必要なんだなと改めて思い出すことができた。
ちなみに、私なんかのブログよりも綺麗に書評が下記にまとまっておりますので、併せてどうぞ。