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Google re:workの"Guide:Understand team effectiveness”を読んで、まとめてみた:強いチームの作り方

最近、良いチームとは?を勉強していたり、調べていたりすると、よく登場する「心理的安全性」という単語。google re:workのサイトに、心理的安全性を中心にGuide: Understand team effectivenessがまとめられたコンテンツがあったので、読んで理解するついでに、まとめてみた。

rework.withgoogle.com

Introduction

多くの組織では、チームが作られ作業をしている。チームでの作業では、対人的な問題・不適切なスキルセット・不明瞭な目標設定によって、生産性を妨げられ、摩擦を引き起こす場合がある。そこで、Googleリサーチは、生産性の高いチームの秘密を研究し、それを解明した(コードネーム:アリストテレス)。 (コードネームの由来は、アリストテレスの”the whole is greater than the sum of its parts"の言葉)

Define what makes a “team”:チームとは何か?

work groupとteamの違い

  • work group
    • 相互依存性が少ない
    • 組織的構造は管理的・ヒエラルキーがしっかりとしている
    • 情報共有は定例で共有される
  • team
    • 相互依存性が高い
    • 仕事を計画し、問題を解決し、意思決定を行い、特定のプロジェクトの進捗状況を確認する
    • チームメンバーは仕事をするためにお互い力を必要とする

相互依存性に注目し、相互依存性が高いチームにフォーカスして、調査を行った。調査の対象となったチームの大きさは、3人から50人だった(中央値:9人)。

Define “effectiveness”:効果を定義する

効果を計るには、“計測”が必要となる。そのため、下記の4つの定性的な評価と定量的な評価の両面で評価することにした。

  • チームのエグゼクティブ評価
    • 経営幹部は結果(例:販売数や製品の発売)に最も関心を示した
  • チームのチームリーダーの評価
    • チームリーダーは、大きな視点と個人の両方に関わる問題、オーナーシップ/ビジョン/ゴールという点に関心があった
  • チームメンバーのチームメンバーの評価
    • チームのメンバーはチームの効果に最も関心を示した
  • 四半期割当に対する売上高
    • 定量的な評価

Collect data and measure effectiveness:データ収集と効果測定

  • 研究対象:180チーム
  • 方法
    • リーダーとの二重盲検のインタビューを数百回行って、チームの有効性を推進したと思ったことを聞き出した
    • 「従業員エンゲージメント調査の250項目を超える既存の調査データ」と、「仕事と人生に関するGoogleの長期的な研究であるgDNAの関連性」の調査
  • 質問項目のサンプル
    • グループのダイナミクス:[私はチームに相違する意見を表現することが安全だと感じます]
    • スキルセット:[私は障壁を乗り越えるのが得意です]
    • 人格特性:[私は自分自身を信頼できる労働者であると思う(参考:ビッグファイブの人格尺度)]
    • 感情的知性:[私は他の人の問題に興味がありません(参考:トロント共感性尺度)]

Identify dynamics of effective teams

本当に重要なことは、「誰がチームにいるのか」ではなく、「チームがどのように協力し合っているのか」ということ

チームパフォーマンスに重要なこと(重要度順)

  1. 心理的安全性
    • 人間関係のリスクを取れる状態
    • 無知、無能、否定的、破壊的とみなされる不安が少ない
    • 自分の間違いを認めたり、質問したり、新しいアイデアを提案しても非難されない
  2. 信頼性
    • 質の高い仕事を時間内にすること
    • 責任から逃げるのとは逆
  3. 構造と明確さ
    • 「仕事上の期待」「達成プロセス」「自分のパフォーマンスのフィードバック」を個々人が理解していることは、チームにとって重要です。
    • 目標は個人レベルまたはグループレベルで設定すること可能。
    • 目標は、具体的、挑戦的、達成可能でなければいけない
    • Googleでは、OKRを使用して、短期的および長期的な目標を設定している
  4. 意義
    • 仕事の意義を持つことで、仕事自体の質も上がるし、チームもよくなる
    • 意義は人それぞれで、「お金をもらう」「家族を養う」「自己実現」など様々
  5. 影響
    • 自分の仕事が組織にプラスに影響しているという実感が大事

チームパフォーマンスに影響がないこと

TwoPizzaTeamのように、チームは大きすぎない方がいいという研究も多くあるが、Googleの研究では以下のものは、チームパフォーマンスに有意な差がないと言っている。

  • チームが同じオフィスに一緒に座っていること
  • コンセンサス主導の意思決定
  • チームメンバーの外出
  • チームメンバーの個人パフォーマンス
  • 作業量
  • 年功
  • チームの大きさ
  • 在職期間

Tool: Help teams determine their own needs

Googleはこの調査結果をもとに、5つの要素に注目した質問紙を作成した。

  • 心理的安全性
    • すべてのチームメンバーは、お互いに発言を求められるようなブレーンストーミングを楽しんでいますか?
    • すべてのチームメンバーは、失敗をオープンにしますか?それとも、失敗を避けようとしますか?
  • 信頼性
    • チームメンバーが何かをやると言ったら、やりきりますか?
    • チームメンバは、遅延や責任について、積極的に会話しますか?
  • 構造と透明性
    • チームメンバーは、チームとプロジェクトの目標とその達成方法を知っていますか?
    • チームメンバーは、自律性、オーナーシップを持っていると感じていますか?
  • 意味
    • 仕事はチームメンバーに個人的かつ専門的な達成感を与えていますか?
    • 能力はスキル/能力と興味の両方に基づいてチームメンバーに合っていますか?
  • 影響
    • チームメンバーは自分の仕事がより良いものを生み出していると感じていますか?
    • チームメンバーは、より高い目標を達成するために自分の仕事が重要だと感じていますか?
    • 現在のチームは幸福/燃え尽きに対してどのように影響していますか?

Tool: Foster psychological safety

心理的安全性が一番重要。心理的安全性が高い人は、Googleから離職する確率が低かった。 心理的安全性が高いと、チームメイトからのさまざまなアイデアの力を活用して、より多くの収益をもたらし、2倍の効果があると評価されている。

“team psychological safety”

組織行動科学専門の Amy Edmondson がチームの心理的安全性を「このチームは、対人的リスクを取っても十分に安全なチームである」という考えをチームのメンバーで共有していること と定義している。

心理的安全性のレベル

チームの心理的安全性のレベルはいくつかある

  1. このチームで失敗を犯すと、しばしばあなたのせいにされる
  2. このチームのメンバーは、困難な課題や問題を提起をすることができる
  3. このチームの人々は、“違い”で他の人を拒絶することがある
  4. このチームでリスクを取ることは安全
  5. このチームで、他のメンバーに助けを求めるのは難しい
  6. このチームでは、私の努力の足を引っ張るような行動をわざとする人はいない
  7. このチームのメンバーと協力して、自分の独自スキルと才能が評価され、活用されている

心理的安全性を高めるために個々人ができること

  • 仕事を作業としてではなく、学習するものとして、フレーミングする
  • あなた自身の失敗を認める
  • 好奇心をモデルにして、たくさんの質問をする

Manager Actions for Psychological Safety

  • エンゲージメントのデモンストレーション
    • 会議中、会話に集中する(ミーティング中にノートパソコンを閉じるなど)
    • チームメイトから学習させてもらうという意思で質問する
    • 口頭で答えることで、エンゲージメントを表示します(「それは意味があるので、もっと教えてください」)
    • 身体言語に注意する。話す人の方に向くなど
    • アイコンタクトで、話を聞いていることや、理解を示す
  • 相互理解を深める
    • 途中途中で話を要約する
    • 合意していること/していないことを意識し、質問を受け付ける
    • コメントを口に出す(「わかりました」など)
    • 責任を負う犯人探し(「なぜこれをやったのですか?」)ではなく、解決策に焦点を当てる(「どうすればこの問題を確実にすることができますか?次回よりスムーズに行くのですか?」、「次回のためにゲームプランを立てるために一緒にできることは何ですか?」)
    • 自分自身の表情を考える(否定的な顔をしていないか?)
    • 会話や会合中に理解を示すために、うなづく
  • 対人関係
    • 自分の仕事のスタイルややり方を共有し、チームメイトに同じやり方を促す
    • チームメイトとの距離を縮める(例:追加の1on1、フィードバックセッション、キャリアコーチング)
    • 追加の1on1 /チームミーティングでは目的を明確に伝える
    • チームの貢献に感謝する
    • チームメンバーが他のチームメンバーについて否定的な意見を述べた場合、介入していく
    • 身体を開放した状態にする(例:すべてのチームメンバーと顔を合わせ、背中をグループに戻さない)
    • 親密な関係を構築する(例:チームメイトと仕事以外の生活について話す)
  • 意思決定
    • チームメートからの意見、意見、フィードバックを求める
    • 話を中断するようなことをしたり、中断したりしない(たとえば、誰かが中断したときにステップインして、自分のアイデアが聞こえるようにするなど)
    • 決定の背後にあるプロセス/推移を説明する
  • 柔軟性に欠けることなく自信と確信を示す
    • チームの議論を管理する(チームミーティングでのサイド会話を許可しない、個人的対立をさせないなど)
    • はっきりと聞こえる声で喋る
    • チームをサポートし、チームを代表する(例:リーダーシップとチームワークを発揮し、チームメイトに信用を与える)
    • チームにあなたの挑戦するビジョンを伝え、後押しをしてくれるように依頼する
    • 失敗について。仕事と失敗に関する考え方を共有する
    • チームメイトに危険を冒した挑戦をするように奨励し、リスクはマネージャが負うことを見せる

まとめ

書籍チームが機能するとはどういうことかは、心理的安全性は何なのか?という話が中心でした。一方、このサイトは、google心理的安全性を重要と思うに至った経緯や調査の内容や質問紙の内容が載っていて、実践や現場に近い形で説明がされていて、参考になりました。この質問紙は会社のメンバーでやってみようかなーと思います。

参考までに、拙著の書籍チームが機能するとはどういうことかの感想はこちら。 sleeping-micchi.hatenablog.com