「コンテンツの秘密 ぼくがジブリで考えたこと」はジブリ好きだけでなく、コンテンツに関わる人は読んで損はないかと思う
コンテンツの秘密 ぼくがジブリで考えたこと (NHK出版新書)
- 作者: 川上量生
- 出版社/メーカー: NHK出版
- 発売日: 2015/04/11
- メディア: Kindle版
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今日の金曜ロードショーで、となりのトトロをやっている中、この本、読みました。
なぜこの本を取ったか
ドワンゴの川上さんがスタジオジブリに入って、何を感じたのか?コンテンツとは何か?ということが気になったので、読んでみることにした。
自分も仕事でCMSを作ったり、Webサイトを作ってコンテンツを配信したり、user generated contents(UGC)の基盤を作ったり・・・。“コンンテンツ”に割と触れることは多く、コンテンツという単語をよく聞くけれども、その“コンテンツ”って何だ?いいコンテンツって何だ?コンテンツってどうやって作るん?などということが疑問に思ったりしていた。
IT業界の川上さんが、コンテンツをどう捉えて、どう理解したのかに興味があった。
内容について
主に語られる対象は、アニメ映画ということで、IT/Web業界的なコンテンツについてはあまり語らえていないけれども、今一度、”コンテンツ”を考えるきっかけとなる良い本でした。私は、コンテンツの配信/収集の基盤を作ることが多い中で、コンテンツがどういうもので、どのように生まれてくるのかということが議論されていたので、非常に面白い本でした。
印象に残ったのは下記のようなところ。
- コンテンツは、メディア・対象・方法の3つで決まる
- コンテンツは、客観的情報量と主観的情報量の2つの情報を持っている。客観的情報量が少ないけれども主観的情報量を多くしていくのがコンテンツの本質。
- コンテンツは現実の模倣であり、現実世界を特徴だけで単純化してコピーした脳の中のイメージの再現
- クリエータは、脳の中のイメージの再現をする人
- コンテンツが再現しようとしているイメージはひとつに収束しやすいので、多様性が高いと思われるUGCは、逆に同じものになりやすい可能性がある(美味しい食べ物のイメージなど、脳の中のイメージは同じものになりやすい)
- DeepLearningのオートエンコーダ的な感じで、人々が普段の生活で学習しているイメージは同じにやりやすい
- 美男美女の方が書きにくい(美男美女とされるのは、平均顔)
- 同じになりやすいパターンをいかにしてずらすか
- 引っ掛かりを作る、予測させない、大作を作るなど・・・
脳の中のイメージということが、とてもよく言い表せているなーと思った。脳の中のイメージというと、ユング心理学の集合的無意識・元型・物語と近いなと感じた。(あんまり専門ではないので、違ったらスイマセン)
感想
CMSとか作っている中で、その中身のコンテンツがどう作られているのか?ということを知れたのは非常に良かった。コンテンツマーケティングの本を読んだりしたことはあったけれども、「Webページの内容をどうするか?」「テーマ設定はこうしましょう」「SEOを考えてコンテンツは書きましょう」とか、そういう類のことしか載っていなかったので、コンテンツの真髄?を感じとれたのは良かった。
自分の仕事でいうと、例えば、スマホアプリ開発は、スマートフォンというメディア(制限)の中で、サービスの価値を届ける手法を探していると思います。メディアと対象は固定なので、手法で勝負しているのが、UIUXデザイナではないでしょうか。脳の中にあるサービスのUIUXをうまく再現し、同じパターンにならないようにズラしを入れる。自分自身は仕事でコンテンツは作ることは、ほぼないけれども、デザイナさん・UIUX担当メンバと話す時は、この辺のことを意識しておきたいと思います。
あと、ドワンゴの川上さんというIT業界の方が、書いてくださっているので、同じIT業界の人間としては理解しやすかったです。 ちなみに、この本を読んだあとに、ジブリ作品を見ると、少し見方が変わりました。ジブリ作品を見る前に読むと見方が少し変わると思います。