どらちゃんのポッケ

R・統計・技術メモなど勉強ログ置き場

「Joy,Inc. 役職も部署もない全員主役のマネジメント」 を読んだ

ジョイ・インク 役職も部署もない全員主役のマネジメント

ジョイ・インク 役職も部署もない全員主役のマネジメント

周りの人が読んでよかったと言っていたので、読んでみた。読み初めは、「タイトルのJoyってなんだろうなー・・・」って半信半疑で読んでいたが、冒頭のこのフレーズが刺さった。

なぜ喜びをあえて取り上げる必要があるのだろう?

(・・中略・・)

チームのうち、半分が喜びを持っていて、半分が喜びを持っていないとしたら、あなたの理想のプロジェクトにはどちらの人を入れたいと思いますか??

喜びとか、そういうものは、なぜか知らないけど、仕事の上では、その価値が低く見られがちだけども、

「喜びがあるチームだから、生産性が高そう」

「喜びがあるチームだから、一緒に働きやすそう」

・・・というように、生産性や働きやすさの土台・1つ上の概念として考えてもいいようなことなんだなと。

考えて改善していくことの大事さ

この本で、XP、スクラム、ラーニングランチ、カンバンなど、メンロー・イノベーション社の色々な取り組みが紹介されていたけれども、その取り組み自体を参考にするというのも、良さそうだけれども、多分本質は「良い方向に向くように考えて、実験して、常に改善していく。そして、それを行える土壌を作っている。」ということなんだろうなと思った。

「喜び」をメインテーマにして、いろんな実験をして、改善していった結果が、本に載っていることなんだろう。

小さなチーム、大きな仕事: 37シグナルズ成功の法則 を読んだ

小さなチーム、大きな仕事――働き方の新スタンダード (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)

小さなチーム、大きな仕事――働き方の新スタンダード (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)

  • 作者: ジェイソンフリード,デイヴィッドハイネマイヤーハンソン,黒沢健二,松永肇一,美谷広海,祐佳ヤング
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2016/12/08
  • メディア: 文庫
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どんな本か?

37signalsが取り組んできた働き方・ビジネスの考え方が描かれている本。

前々から気になっていたけども、今回手に取ったきっかけは、SOFT SKILLS ソフトウェア開発者の人生マニュアルで触れられていたから。あっさり読めるし、読んでよかった。

感想

リーンスタートアップのような考え方がベースにあるように思った。「小さなチーム」というのがあるけれど、小さなチームでなくても、参考になることはたくさんあるし、むしろ今後は大企業でもこう言った考えを持っていないと生き残れないように思っている。

この辺のところは特に印象に残った。

  • 制約を受け入れる
  • 芯から作る
  • 競争相手以下のことしかしない
  • 顧客の声を書き留めてはいけない
  • 競合相手に教える

中でも、「競争相手以下のことしかしない」は、一番印象に残った。 製品開発、新規事業などなどをお手伝いすることがあるけれど、どうしても他社・他社製品よりもより多機能・高機能というところに目が行きがちになってしまう傾向にあると思うので、「なるべく小さく、なるべく無駄をそぎ落とす」とういうことは意識していきたい。

あと、この本の日本語版の初版が2010年(おそらく)というのにも驚いた。 リーンスタートアップの日本語の初版が2012年(おそらく)でそれよりも前だし、2010年の段階でこんな考え方をしていたのはすごいなぁと心から思った。

書評:「運のいい人の法則」自分で鍛えられる運もある

運のいい人の法則 (角川文庫)

運のいい人の法則 (角川文庫)

手に取ったきっかけ

Team Geekを読んだ時に、本の中で引用されていて、知った。タイトルが胡散臭い感じがしたが、Team Geekで引用されているんだから、それなりの本なのではないかと思って、読んでみることにした。読んでみたら、めっちゃよかった。

どういう本だったのか?

ちょっとタイトル胡散臭い感じがしますが、心理学的に基づいて、「運がいい人」に共通する行動・思考パターンを探って、運がいい人になるためにはどうしたらいいのか?を考察した本。

当然、「運」と言っても、それは「宝くじに当たりやすい」とか、「コインの表が出やすい」とか、そういう外的な事象をコントロールする方法ではない。「自分で自分が運がいいと思っている」人に共通することを調査研究した結果がまとめられている。外的な事象自体を制御しようという話ではなく、チャンスを掴みに行く姿勢・物事の捉え方によって、「自分は運がいい人だ」と思えるようになるよという話。(ちなみに、「宝くじに当たりやすい」のような運は、“運がいい人”と“運が悪い人”の間で差がないという実験もしているのが好感的でした)

納得感があって、試してみたくなる

一通り本を読んでみて、自分が運がいいなと思った体験と重ね合わせると、非常に納得感があってよかった。 運がいい人の1つのポイントとして、「たくさんの人とあって、人付き合いを大切にして、外向的」ということがあったので、これは苦手ながらも実践していきたい。

ちょうど今年の目標として、社内・社外の人と仕事で繋がる機会を増やすということを考えていたので、実践していきたい。仕事での繋がりを作る時に、Win-Win/Give&Takeの関係でないと、なかなか維持しづらいと思っている。ようやく、自分ができること・Giveできるものは何なのか?これまでの仕事の実績は何なのか?ということを少しの自信を持って言えるようになってきたので、土俵に立って、繋がりを作っていければいいと思う。

全体的な感想

タイトルの胡散臭さとは違って、非常にいい本だと思う。何か詰まった時にもう一度読みたい本だと思う。本のタイプ的には、河合隼雄先生のこころの処方箋を読んだ時に近い感覚だった。

  • 生きる上で、ちょっと視点を変えると、見え方が全然変わるよ
  • 自分だけの考えの延長にはない、いい意味で“斜め上からの刺激”
  • 考え方を知っているだけで、心に余裕ができる感じ

そんな感じの本でした。

データ・ジャーナリズム・ハンドブック:日々、仕事でデータと関わる人には超絶オススメ

データ・ジャーナリズム・ハンドブックとは?

The Data Journalism Handbook

The Data Journalism Handbook

そもそもデータ・ジャーナリズムとは、以下のようなものです。

データ・ジャーナリズムは、データを統計学的に分析したり、またそれらのデータをビジュアライズしたりすることで、これまでにない角度からの取材活動を可能とし、新しい形で読者に情報を提供する調査報道の手法のひとつです。(http://datajournalismjp.github.io/releases/20161118.html)

データ・ジャーナリズム・ハンドブックは、データ・ジャーナリズムを行う時に参考になる指針や事例が集まっている資料です。 日本語版はオンラインで公開されていて、これがとても素晴らしいものだったので、その感想を書きたいと思います。 datajournalismjp.github.io

データ・ジャーナリズム・ハンドブックには

  • データ・ジャーナリズムがどういうものか?
  • なぜデータ・ジャーナリズムが重要なのか?
  • データジャーナリズムの事例

・・・など、データジャーナリスムについてのことだけでなく

  • データを扱うときに気をつけるべきこと:データリテラシー
  • データを扱うためのツール
  • データからストーリーを展開・考察するときに考えること

・・・など、データジャーナリズムだけでなく、データサイエンス/データマイニングの一般的な話にも展開可能な考え方がいろいろと載っていて、とても参考になります。ジャーナリズムに関係していなくても、データと向き合って仕事をしている人には得るものが多い資料だと思います。

心に刺さった文章とその感想

全部良かったのですが、その中でも印象に残ったことをメモっておきます。

データのリテラシーは、統計的な知識だけでなく、巨大なデータの集まりをどのように扱うか、それがどのように作成されたのか、どうやって複数のデータの集合をつなげるか、それらをどのように読み解くか、を理解することを含んでいる

機械学習ブームの中、最近、私が強く思うこと。データリテラシーが低いまま、機械学習ブラックボックス的に使っていたりすると、危ないケースが出てくる気がしている。データサイエンス・機械学習が流行っている今、数学・統計的な理解も大事だけれども、それよりもまず、データリテラシーを高めることがまず大事な気がする。

数値の信頼性に疑いを持った時は、必ず2重にチェックをする。

一番の質問は、昔からあるものだ。これは本当に大きな数字なのか?この数値はどこから来たのか?あなたは、あなたが思っているこの数値の意義が正しいと確信できるか?こうした質問は、データの周りについて考えるきっかけになる。一つの数値を眺めることでは見えてこない周縁、現実の世界の複雑さ、広い範囲で時を超えて比較されうるもの、属するグループ、地理的な近接性 -つまりコンテキストについてだ。

集計されたデータは妥当な方法で測定されているのか?そもそもの測定方法が間違っていたら、その後のデータ分析が意味ないし、誤った判断をしてしまうので気をつけよう。このデータはどこからやってきたのか?どういうコンテキストで生まれたものか?と言うことを事前に理解しておくことが大事。

データを扱うために一番重要な事は、楽しむということだ。データは近寄りがたいものに見えるかもしれない。しかし、データを恐れていては何もできなくなってしまう。何か楽しむもの、調べがいのあるものとして扱えば、データはいとも簡単にその秘密とストーリーを示してくれる。だから、データを他の証拠と同じように簡単に、公平に扱えば良い。とりわけ、データを扱うことをイマジネーションの練習だと思うと良い。つまり、あるデータと整合し、より説明のつく異なるストーリーをいくつも模索し、より多くの証拠とつきあわせてみるのだ。

このスタンスはとても同意。データから何かを発見すること、データを用いてストーリーテリングすること、そして発見によって何かが変わっていくことの楽しさを伝えたい。仕事をしていると、日々、ログデータ等、新しいデータがたくさん生まれていて、意識していなくても身の回りにデータは溢れている。そのデータに気がつき、そのデータから発見をし、日々の仕事・生活を良くしていくというプロセスは本当に楽しいと思う。

調査とは物語である。つまり、ひとかけらの証拠から他の証拠へと突き進みながら、どうやってものごとを見つけだそうとしたかの物語が素晴らしいジャーナリズムを生む。この事はデータから証拠を掘り起こす際にもあてはまる。一つの数字からは何も見えてこないのだ。異なる情報ソースは新しい観点や新しいアイデア、そしてより豊かな理解をもたらす。我々が、権威的でありたい、人々に答えを与えたいという欲求にあまりに固執すると、調査過程を見せないことでチャンスを逃すことになるのではないだろうか。

データから物語を作るには、1つのデータだけでなく、組み合わせることは大事。ただ、どのデータを組み合わせれば、もっと面白い分析ができるようになるか?新しい観点はどの切り口がいいか?ということは、他の事例を研究したり、などの日々の訓練の積み重ねによって得られるものだと思います。

私はドキュメンテーションこそがプロセスの中で最も重要なステップだと思っている。そして、私たちが最も無視してしまいがちなものでもある。以下の例で見るように、叙述のプロセスは描写やデータ論争を引き起こすものである。過去に作った15の図表を見ることは混乱を招くものであろうし、特に少し時間が経つと尚更である。実際、そういった図表が(あなた自身や、発見を伝える他の人々にとって)価値があるのは、その図表自体が作られた文脈において見せられた場合のみである。よって、以下のような但し書きをするために時間を使うべきである: * なぜ私はこの図表を作ったのか? * それを作るためにデータに何をしたのか? * この図表は何を示しているのか?

グラフを作る時は、1つ1つなぜこのグラフを作って載せているのか?ということを考えないといけない。「とりあえず棒グラフ載せておくか」ではデータの意図は伝わらないし、誤解を招く恐れがある。データ分析において、「わかったことを使えること」と同じくらい、「誤解を与えないこと」も大事かもしれない。

書籍:採用学を読んだ

採用学 (新潮選書)

採用学 (新潮選書)

  • 採用がなぜ必要なのか?
  • いい採用とは何なのか?
  • 採用のプロセスで考えなくてはいけないことは何なのか?
  • 採用の評価基準の難しさ
    • 優秀とは何か?
    • 基準が拡張されやすいので、何を見ないかが大事
    • 「変わりやすい能力」と「変わりにくい能力」で判断するといい
  • 組織は安定を求めてしまうので、意識をしないと多様性を得るための採用が均一化を促進してしまう
  • バイアスについて

・・・などなどが書いてあった。

優秀さなどの抽象的なものを扱い・測定することや、面接におけるバイアスを考えたりするあたりが、とても心理学っぽい感じがして、やっぱり人事は難しそうだけど楽しそうだなと思った。

この前に読んだ、その「エンジニア採用」が不幸を生むでは、エンジニアの採用について述べられていたけど、この本は採用全体について書かれていて、この2つの本を読むと採用の全体が分かりつつ、エンジニアのケースで特に気をつけないといけないことがわかっていいかと思います。

書評:その「エンジニア採用」が不幸を生む ~良い人材を見つけ、活躍してもらうには何が必要か?

新年1冊!採用担当・エンジニア・人材紹介会社の3つの視点から、採用がうまくいかない理由と解説している本。自分が転職を考えるときに参考になりそうな本だった。

印象に残ったのは2つ。

やっぱり、エンジニアという職業は少し変わっているのか?

“最大の原因は、じつはエンジニア職に就職するまでの意思決定が遅いことにあります。たとえば、医師になりたい学生は、中学・高校時代から医学部を目指して勉強するはずです” 

“転職する理由の中で、「上司の仕事の回し方が気に入らない」「同じ種類の開発ばかりで飽きてしまった」「ほかの新しい技術に興味が移ってしまい、転職したくなった」など、銀行員や販売職ではありえないものが多いからです。"

・・・などと書いてあり、他業種・他の職種の感覚はわからないけれども、エンジニアの仕事の選び方・職業の選択の仕方がやっぱり独特なのかな?と思ったりもした(主語が大きい気がするけれども)。

エンジニアのタイプ分け

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採用を考えるときに、上の図のようなタイプ分けをすると良いそう。そして、自分で自己評価してみたところ、タイプA×グループ2かなーと思います。そして、グループ2がどんな人がというと。

グループ2の場合、優秀で、そこそこいいものを作りますが、自身のキャリアを優先するケースが多く、独創性の高い製品・サービスの開発まで力が及ばないケースが多いです。

独創性の高い製品・サービスの開発まで力が及ばないケースが多い

・・・だそうです。もっと頑張ります。

感想

採用学も読んだけれども、採用には採用の専門性があって、特にエンジニアのように専門能力が問われる人の採用には、それ相応のスキルが必要なんだなぁと改めて思いました。

2016年読んだ書籍で今年を振り返ってみる

2016年も終わりということで、2016年に読んだ書籍を振り返りつつ、本を読んで何を学んだか・自分の興味は何だったのか?を振り返ってみる。★印はは私が良かったなーっていう本です。  

データ分析系

チーム・マネージメント系

UI/UX/デザイン系

サービス開発

育児・家庭系

その他

振り返り:36冊読みました

  • データ分析系:8冊
  • チーム・マネージメント系:9冊
  • UI/UX/デザイン系:4冊
  • サービス開発:6冊
  • 育児・家庭系:7冊

・・・というような内訳。 振り返ってみると、UI系の本をもうちょっと読んでいた気もするけど、意外と少なかった。 やっぱり仕事の文脈でいうとデータ分析、チーム・マネージメント、サービス開発の3つの領域に注力していたんだなーと思いました。そして、技術系の本、全然読んでない・・・。今年はプログラミングとか、IT技術よりのスキルよりも、サービス開発やチーム・マネージメント系の話を追いかけようと思っていたので、その通りではあるけれども、ちょっと少なすぎな気がする・・・。来年も同じような力配分で勉強しようと思っているけど、月に1冊ぐらいは技術の本を読もうと思いました。来年も本読むぞー。