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データ・ジャーナリズム・ハンドブック:日々、仕事でデータと関わる人には超絶オススメ

データ・ジャーナリズム・ハンドブックとは?

The Data Journalism Handbook

The Data Journalism Handbook

そもそもデータ・ジャーナリズムとは、以下のようなものです。

データ・ジャーナリズムは、データを統計学的に分析したり、またそれらのデータをビジュアライズしたりすることで、これまでにない角度からの取材活動を可能とし、新しい形で読者に情報を提供する調査報道の手法のひとつです。(http://datajournalismjp.github.io/releases/20161118.html)

データ・ジャーナリズム・ハンドブックは、データ・ジャーナリズムを行う時に参考になる指針や事例が集まっている資料です。 日本語版はオンラインで公開されていて、これがとても素晴らしいものだったので、その感想を書きたいと思います。 datajournalismjp.github.io

データ・ジャーナリズム・ハンドブックには

  • データ・ジャーナリズムがどういうものか?
  • なぜデータ・ジャーナリズムが重要なのか?
  • データジャーナリズムの事例

・・・など、データジャーナリスムについてのことだけでなく

  • データを扱うときに気をつけるべきこと:データリテラシー
  • データを扱うためのツール
  • データからストーリーを展開・考察するときに考えること

・・・など、データジャーナリズムだけでなく、データサイエンス/データマイニングの一般的な話にも展開可能な考え方がいろいろと載っていて、とても参考になります。ジャーナリズムに関係していなくても、データと向き合って仕事をしている人には得るものが多い資料だと思います。

心に刺さった文章とその感想

全部良かったのですが、その中でも印象に残ったことをメモっておきます。

データのリテラシーは、統計的な知識だけでなく、巨大なデータの集まりをどのように扱うか、それがどのように作成されたのか、どうやって複数のデータの集合をつなげるか、それらをどのように読み解くか、を理解することを含んでいる

機械学習ブームの中、最近、私が強く思うこと。データリテラシーが低いまま、機械学習ブラックボックス的に使っていたりすると、危ないケースが出てくる気がしている。データサイエンス・機械学習が流行っている今、数学・統計的な理解も大事だけれども、それよりもまず、データリテラシーを高めることがまず大事な気がする。

数値の信頼性に疑いを持った時は、必ず2重にチェックをする。

一番の質問は、昔からあるものだ。これは本当に大きな数字なのか?この数値はどこから来たのか?あなたは、あなたが思っているこの数値の意義が正しいと確信できるか?こうした質問は、データの周りについて考えるきっかけになる。一つの数値を眺めることでは見えてこない周縁、現実の世界の複雑さ、広い範囲で時を超えて比較されうるもの、属するグループ、地理的な近接性 -つまりコンテキストについてだ。

集計されたデータは妥当な方法で測定されているのか?そもそもの測定方法が間違っていたら、その後のデータ分析が意味ないし、誤った判断をしてしまうので気をつけよう。このデータはどこからやってきたのか?どういうコンテキストで生まれたものか?と言うことを事前に理解しておくことが大事。

データを扱うために一番重要な事は、楽しむということだ。データは近寄りがたいものに見えるかもしれない。しかし、データを恐れていては何もできなくなってしまう。何か楽しむもの、調べがいのあるものとして扱えば、データはいとも簡単にその秘密とストーリーを示してくれる。だから、データを他の証拠と同じように簡単に、公平に扱えば良い。とりわけ、データを扱うことをイマジネーションの練習だと思うと良い。つまり、あるデータと整合し、より説明のつく異なるストーリーをいくつも模索し、より多くの証拠とつきあわせてみるのだ。

このスタンスはとても同意。データから何かを発見すること、データを用いてストーリーテリングすること、そして発見によって何かが変わっていくことの楽しさを伝えたい。仕事をしていると、日々、ログデータ等、新しいデータがたくさん生まれていて、意識していなくても身の回りにデータは溢れている。そのデータに気がつき、そのデータから発見をし、日々の仕事・生活を良くしていくというプロセスは本当に楽しいと思う。

調査とは物語である。つまり、ひとかけらの証拠から他の証拠へと突き進みながら、どうやってものごとを見つけだそうとしたかの物語が素晴らしいジャーナリズムを生む。この事はデータから証拠を掘り起こす際にもあてはまる。一つの数字からは何も見えてこないのだ。異なる情報ソースは新しい観点や新しいアイデア、そしてより豊かな理解をもたらす。我々が、権威的でありたい、人々に答えを与えたいという欲求にあまりに固執すると、調査過程を見せないことでチャンスを逃すことになるのではないだろうか。

データから物語を作るには、1つのデータだけでなく、組み合わせることは大事。ただ、どのデータを組み合わせれば、もっと面白い分析ができるようになるか?新しい観点はどの切り口がいいか?ということは、他の事例を研究したり、などの日々の訓練の積み重ねによって得られるものだと思います。

私はドキュメンテーションこそがプロセスの中で最も重要なステップだと思っている。そして、私たちが最も無視してしまいがちなものでもある。以下の例で見るように、叙述のプロセスは描写やデータ論争を引き起こすものである。過去に作った15の図表を見ることは混乱を招くものであろうし、特に少し時間が経つと尚更である。実際、そういった図表が(あなた自身や、発見を伝える他の人々にとって)価値があるのは、その図表自体が作られた文脈において見せられた場合のみである。よって、以下のような但し書きをするために時間を使うべきである: * なぜ私はこの図表を作ったのか? * それを作るためにデータに何をしたのか? * この図表は何を示しているのか?

グラフを作る時は、1つ1つなぜこのグラフを作って載せているのか?ということを考えないといけない。「とりあえず棒グラフ載せておくか」ではデータの意図は伝わらないし、誤解を招く恐れがある。データ分析において、「わかったことを使えること」と同じくらい、「誤解を与えないこと」も大事かもしれない。

書籍:採用学を読んだ

採用学 (新潮選書)

採用学 (新潮選書)

  • 採用がなぜ必要なのか?
  • いい採用とは何なのか?
  • 採用のプロセスで考えなくてはいけないことは何なのか?
  • 採用の評価基準の難しさ
    • 優秀とは何か?
    • 基準が拡張されやすいので、何を見ないかが大事
    • 「変わりやすい能力」と「変わりにくい能力」で判断するといい
  • 組織は安定を求めてしまうので、意識をしないと多様性を得るための採用が均一化を促進してしまう
  • バイアスについて

・・・などなどが書いてあった。

優秀さなどの抽象的なものを扱い・測定することや、面接におけるバイアスを考えたりするあたりが、とても心理学っぽい感じがして、やっぱり人事は難しそうだけど楽しそうだなと思った。

この前に読んだ、その「エンジニア採用」が不幸を生むでは、エンジニアの採用について述べられていたけど、この本は採用全体について書かれていて、この2つの本を読むと採用の全体が分かりつつ、エンジニアのケースで特に気をつけないといけないことがわかっていいかと思います。

書評:その「エンジニア採用」が不幸を生む ~良い人材を見つけ、活躍してもらうには何が必要か?

新年1冊!採用担当・エンジニア・人材紹介会社の3つの視点から、採用がうまくいかない理由と解説している本。自分が転職を考えるときに参考になりそうな本だった。

印象に残ったのは2つ。

やっぱり、エンジニアという職業は少し変わっているのか?

“最大の原因は、じつはエンジニア職に就職するまでの意思決定が遅いことにあります。たとえば、医師になりたい学生は、中学・高校時代から医学部を目指して勉強するはずです” 

“転職する理由の中で、「上司の仕事の回し方が気に入らない」「同じ種類の開発ばかりで飽きてしまった」「ほかの新しい技術に興味が移ってしまい、転職したくなった」など、銀行員や販売職ではありえないものが多いからです。"

・・・などと書いてあり、他業種・他の職種の感覚はわからないけれども、エンジニアの仕事の選び方・職業の選択の仕方がやっぱり独特なのかな?と思ったりもした(主語が大きい気がするけれども)。

エンジニアのタイプ分け

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採用を考えるときに、上の図のようなタイプ分けをすると良いそう。そして、自分で自己評価してみたところ、タイプA×グループ2かなーと思います。そして、グループ2がどんな人がというと。

グループ2の場合、優秀で、そこそこいいものを作りますが、自身のキャリアを優先するケースが多く、独創性の高い製品・サービスの開発まで力が及ばないケースが多いです。

独創性の高い製品・サービスの開発まで力が及ばないケースが多い

・・・だそうです。もっと頑張ります。

感想

採用学も読んだけれども、採用には採用の専門性があって、特にエンジニアのように専門能力が問われる人の採用には、それ相応のスキルが必要なんだなぁと改めて思いました。

2016年読んだ書籍で今年を振り返ってみる

2016年も終わりということで、2016年に読んだ書籍を振り返りつつ、本を読んで何を学んだか・自分の興味は何だったのか?を振り返ってみる。★印はは私が良かったなーっていう本です。  

データ分析系

チーム・マネージメント系

UI/UX/デザイン系

サービス開発

育児・家庭系

その他

振り返り:36冊読みました

  • データ分析系:8冊
  • チーム・マネージメント系:9冊
  • UI/UX/デザイン系:4冊
  • サービス開発:6冊
  • 育児・家庭系:7冊

・・・というような内訳。 振り返ってみると、UI系の本をもうちょっと読んでいた気もするけど、意外と少なかった。 やっぱり仕事の文脈でいうとデータ分析、チーム・マネージメント、サービス開発の3つの領域に注力していたんだなーと思いました。そして、技術系の本、全然読んでない・・・。今年はプログラミングとか、IT技術よりのスキルよりも、サービス開発やチーム・マネージメント系の話を追いかけようと思っていたので、その通りではあるけれども、ちょっと少なすぎな気がする・・・。来年も同じような力配分で勉強しようと思っているけど、月に1冊ぐらいは技術の本を読もうと思いました。来年も本読むぞー。

Google アナリティクス個人認定資格(GAIQ)を取得してみた。GAIQの勉強は得るものが多かったので、お勧め。

f:id:sleeping_micchi:20161219232123p:plain だだーん(そんなに自慢する資格ではないけども)

そもそも、Google アナリティクス個人認定資格(GAIQ)とは?

Google アナリティクス個人認定資格(GAIQ)試験では、デジタル解析の実務と Google アナリティクスに関する知識が試されます。 https://support.google.com/partners/answer/6089828?hl=ja

Googleアナリティクスの概念・仕様とか、Webサイト分析等のデジタルアナリティクスの基本的な概念についての個人資格。GAIQを取得すれば、Googleアナリティクスの基礎知識と、分析をどう進めていくのか?ということが理解できる証明になるかと思います。

受験料は無料、さらに試験不合格でも7日後に再受験が可能なので、気軽に勉強&腕試しができるのでオススメです。

GAIQの勉強をお勧めする理由:学習資料が素晴らしい

GAIQ取得のための学習リソースとして、Google Analytics Academyがあるのですが、それが秀逸すぎる。Googleアナリティクスの基本だけでなく、Webデータ分析の基本もわかるので、とてもいいです。とてもわかりやすい。

analyticsacademy.withgoogle.com

Webデータの分析観点がわかる

分析の切り口(ex:地理情報やリピータなどセグメントに切って見よう)とか、分析で注目するポイント(ex:動画サイトでは滞在時間が多い方がいいが、QAサイトで滞在時間が多いと問題)とか、Googleアナリティクスに関係なく、Webのログデータ分析の時に考えないといけないようなことが一通り解説されていて素晴らしい。下手なアクセス解析の本を読むよりも得るものが多いと思います。

ログ設計の参考になる

Google Analytics Academyで一通り学習すると、「ゲームのジャンプボタンみたいなところにログを仕込んでも、ビジネス上あまり意味のないものだから、そういうボタンにはログを仕込まなくてもいい」等、Web/モバイルアプリでは、どういう所でログを仕込んでおくべきかという感覚がつ かめるようになるかと思います。

また、GAIQの勉強をすると、Googleアナリティクスで取得可能なメトリクスをひととり把握することができるので、ログ収集を自前実装する場合にも、ログの取得項目/集計方法の検討の参考になるかと思います。

ついでに英語のお勉強

Google Analytics Academyの動画は英語なので、GAIQの勉強もしながら、英語の練習にもなるという!

GAIQ取得の学習方法と学習期間

最後に、私がGAIQを取得するまでの期間と勉強方法を載せておきます。そんなに難易度が高い試験ではないので、このぐらいで普通に合格できました。

  • 前提:Googleアナリティクスを趣味で触っている程度の事前知識を持っていました
  • GAIQ取得のための学習リソース:Google Analytics Academyのみ
  • 学習期間:1.5week

最後に

Webのログデータ分析といえば、Googleアナリティクスみたいな感じで、業界のデファクトスタンダードになって居るかと思います。デファクトスタンダードのツールを学ぶということは、単純に「ツール」を学ぶということ以上に、「業界標準のやり方・考え方」を学ぶということの意味も大きいかと思います(AWSを勉強すると、クラウドがなんとなくわかるみたいな感じ)。そいう意味でGAIQは勉強しておいて損はないし、勉強するのにちょうど良いレベル感だと思います。オススメ。

デザイン素人・イラレ素人のエンジニアでも、それっぽいアプリアイコンなどを作るコツ

アプリ開発をする上で、「デザイナがいない・・・素材どうするんだ?」というところから、Illustratorを触れるようにしようと思い、今年、こんな感じ↓でIllustratorをちょっとだけ使えるようになりました。デザイナがいなくても、ちょっとしたアイコンぐらいはエンジニアでも作れた方が幸せだと思います。

私は本業はエンジニアで、デザインもイラレも全然できない素人ですが、↑このアイコンを作った時に経験した、「素人でもなんとなくそれっぽいアイコンを作る方法」を自分のためにも、まとめておきたいと思います。

まず、アイコンを考える・作り方を学ぶ

まず、とっかかりとして、私はこの辺の資料を参考にさせていただきました。

  • いいアイコンをどうやって作るのか?
  • アイコンを考えるときにどこに気をつけるのか?
  • アイコンの大まかな作り方

この辺を読んで、もやもやとアイコンのアイディアが出るまで考えます。 私の場合は、セイウチのアイコンを作ろうと思って、正面からの構図ならいけそうかな?と思いました。

特に、この2つの資料はとてもいい資料です。 アイコンを作る流れと、フラットアイコンを作る時のガイドラインがそれぞれ、載っています。

下書きをする

よくある、こういう紙↓を準備して、これにバランスを見ながら鉛筆で構図を確かめながら、下書きをします。(セイウチアイコンを作った時の下書きはどこかに行ってしまいました・・・)

f:id:sleeping_micchi:20161212224651p:plain

この時に、後でイラレで作成することを考慮して、以下の2つを意識してみると、上手くいきやすいと思います。

1.イラレの基本パーツ(円、四角、直線)を意識して、円・四角・直線だけで下書きを書いてみる

2.下書きアイコンは、基本パーツ(円、四角、直線)に分解できるか?基本パーツに分解できた下書きは、良い下書き!

基本パーツを組み合わせて作る:ベジエ曲線を使ったら負け

ここまでで、下書きができているので、次はイラレで作成していきます。「ベジエ曲線を使って、いい感じに絵を描きたい!書けるはずだ!」という思いや幻想を押し殺し、ベジエ曲線を使わないで、円や長方形など基本図形を上手く組み合わせて絵を描くと上手くと思います。

例えば、前述のアイコンはこんな感じのパーツで構成されています、

  • 円/楕円:目・鼻・ヒゲ・顔
  • 円をベースに少しハンドル・アンカーなどをいじったもの:手・牙
  • 長方形:胴体
  • 直線:手のくぼみ

f:id:sleeping_micchi:20161212224709p:plain

手と牙だけ、少し手をかけました。手は円の左と下のアンカーを短くしただけですし、牙は楕円を半分に切って、下のアンカーの位置をずらしただけです。

ここでも先ほどと同じ2つのことを意識するといいと思います。

1.イラレの基本パーツを意識して、そのパーツだけで組み上げる

2.下書きしたアイコンは、無理やりにでも、基本パーツに分解する

素人がベジエ曲線に手を出しては危険です。

輪郭線はちょっと太く

ここまでで、だいぶそれっぽいアイコンはできているかと思いますが、輪郭線を黒で太くするとそれっぽく見える気がします(個人的感想)。

比較してみますと・・・

1pt f:id:sleeping_micchi:20161212224720p:plain

4pt f:id:sleeping_micchi:20161212224728p:plain

線が太いほうが誤魔化せている感じあると思います。

出来上がり!

もう、アイコンができているかと思います。イラレの操作ができる人であれば、下書きから30分もあればアイコンが完成するのではないでしょうか?ちなみに、私もセイウチのアイコンは30分で作っています。

まとめ

  • 素人でも作れるような構図にする
  • 素人でも作れるように、基本パーツで組み合わせる
  • 線は太く!ごまかす。

「ベジェ曲線」習熟ドリルを使って、ベジエ曲線の練習しました。しかし、使いこなすには相当の訓練が必要だと感じ、逆にベジエ曲線を使うのを綺麗に諦めたことによって、それっぽいアイコンを作れるようになった気がします。(「ベジェ曲線」習熟ドリルの本はとてもいい本です) アプリが主流になっている中、非デザイナであっても、簡単な素材を作れる技術は持っていて、損はない技術だと思います。 来年はAfter EffectsPhotoshop触れるようにしようかなー。

Google re:workの"Guide:Understand team effectiveness”を読んで、まとめてみた:強いチームの作り方

最近、良いチームとは?を勉強していたり、調べていたりすると、よく登場する「心理的安全性」という単語。google re:workのサイトに、心理的安全性を中心にGuide: Understand team effectivenessがまとめられたコンテンツがあったので、読んで理解するついでに、まとめてみた。

rework.withgoogle.com

Introduction

多くの組織では、チームが作られ作業をしている。チームでの作業では、対人的な問題・不適切なスキルセット・不明瞭な目標設定によって、生産性を妨げられ、摩擦を引き起こす場合がある。そこで、Googleリサーチは、生産性の高いチームの秘密を研究し、それを解明した(コードネーム:アリストテレス)。 (コードネームの由来は、アリストテレスの”the whole is greater than the sum of its parts"の言葉)

Define what makes a “team”:チームとは何か?

work groupとteamの違い

  • work group
    • 相互依存性が少ない
    • 組織的構造は管理的・ヒエラルキーがしっかりとしている
    • 情報共有は定例で共有される
  • team
    • 相互依存性が高い
    • 仕事を計画し、問題を解決し、意思決定を行い、特定のプロジェクトの進捗状況を確認する
    • チームメンバーは仕事をするためにお互い力を必要とする

相互依存性に注目し、相互依存性が高いチームにフォーカスして、調査を行った。調査の対象となったチームの大きさは、3人から50人だった(中央値:9人)。

Define “effectiveness”:効果を定義する

効果を計るには、“計測”が必要となる。そのため、下記の4つの定性的な評価と定量的な評価の両面で評価することにした。

  • チームのエグゼクティブ評価
    • 経営幹部は結果(例:販売数や製品の発売)に最も関心を示した
  • チームのチームリーダーの評価
    • チームリーダーは、大きな視点と個人の両方に関わる問題、オーナーシップ/ビジョン/ゴールという点に関心があった
  • チームメンバーのチームメンバーの評価
    • チームのメンバーはチームの効果に最も関心を示した
  • 四半期割当に対する売上高
    • 定量的な評価

Collect data and measure effectiveness:データ収集と効果測定

  • 研究対象:180チーム
  • 方法
    • リーダーとの二重盲検のインタビューを数百回行って、チームの有効性を推進したと思ったことを聞き出した
    • 「従業員エンゲージメント調査の250項目を超える既存の調査データ」と、「仕事と人生に関するGoogleの長期的な研究であるgDNAの関連性」の調査
  • 質問項目のサンプル
    • グループのダイナミクス:[私はチームに相違する意見を表現することが安全だと感じます]
    • スキルセット:[私は障壁を乗り越えるのが得意です]
    • 人格特性:[私は自分自身を信頼できる労働者であると思う(参考:ビッグファイブの人格尺度)]
    • 感情的知性:[私は他の人の問題に興味がありません(参考:トロント共感性尺度)]

Identify dynamics of effective teams

本当に重要なことは、「誰がチームにいるのか」ではなく、「チームがどのように協力し合っているのか」ということ

チームパフォーマンスに重要なこと(重要度順)

  1. 心理的安全性
    • 人間関係のリスクを取れる状態
    • 無知、無能、否定的、破壊的とみなされる不安が少ない
    • 自分の間違いを認めたり、質問したり、新しいアイデアを提案しても非難されない
  2. 信頼性
    • 質の高い仕事を時間内にすること
    • 責任から逃げるのとは逆
  3. 構造と明確さ
    • 「仕事上の期待」「達成プロセス」「自分のパフォーマンスのフィードバック」を個々人が理解していることは、チームにとって重要です。
    • 目標は個人レベルまたはグループレベルで設定すること可能。
    • 目標は、具体的、挑戦的、達成可能でなければいけない
    • Googleでは、OKRを使用して、短期的および長期的な目標を設定している
  4. 意義
    • 仕事の意義を持つことで、仕事自体の質も上がるし、チームもよくなる
    • 意義は人それぞれで、「お金をもらう」「家族を養う」「自己実現」など様々
  5. 影響
    • 自分の仕事が組織にプラスに影響しているという実感が大事

チームパフォーマンスに影響がないこと

TwoPizzaTeamのように、チームは大きすぎない方がいいという研究も多くあるが、Googleの研究では以下のものは、チームパフォーマンスに有意な差がないと言っている。

  • チームが同じオフィスに一緒に座っていること
  • コンセンサス主導の意思決定
  • チームメンバーの外出
  • チームメンバーの個人パフォーマンス
  • 作業量
  • 年功
  • チームの大きさ
  • 在職期間

Tool: Help teams determine their own needs

Googleはこの調査結果をもとに、5つの要素に注目した質問紙を作成した。

  • 心理的安全性
    • すべてのチームメンバーは、お互いに発言を求められるようなブレーンストーミングを楽しんでいますか?
    • すべてのチームメンバーは、失敗をオープンにしますか?それとも、失敗を避けようとしますか?
  • 信頼性
    • チームメンバーが何かをやると言ったら、やりきりますか?
    • チームメンバは、遅延や責任について、積極的に会話しますか?
  • 構造と透明性
    • チームメンバーは、チームとプロジェクトの目標とその達成方法を知っていますか?
    • チームメンバーは、自律性、オーナーシップを持っていると感じていますか?
  • 意味
    • 仕事はチームメンバーに個人的かつ専門的な達成感を与えていますか?
    • 能力はスキル/能力と興味の両方に基づいてチームメンバーに合っていますか?
  • 影響
    • チームメンバーは自分の仕事がより良いものを生み出していると感じていますか?
    • チームメンバーは、より高い目標を達成するために自分の仕事が重要だと感じていますか?
    • 現在のチームは幸福/燃え尽きに対してどのように影響していますか?

Tool: Foster psychological safety

心理的安全性が一番重要。心理的安全性が高い人は、Googleから離職する確率が低かった。 心理的安全性が高いと、チームメイトからのさまざまなアイデアの力を活用して、より多くの収益をもたらし、2倍の効果があると評価されている。

“team psychological safety”

組織行動科学専門の Amy Edmondson がチームの心理的安全性を「このチームは、対人的リスクを取っても十分に安全なチームである」という考えをチームのメンバーで共有していること と定義している。

心理的安全性のレベル

チームの心理的安全性のレベルはいくつかある

  1. このチームで失敗を犯すと、しばしばあなたのせいにされる
  2. このチームのメンバーは、困難な課題や問題を提起をすることができる
  3. このチームの人々は、“違い”で他の人を拒絶することがある
  4. このチームでリスクを取ることは安全
  5. このチームで、他のメンバーに助けを求めるのは難しい
  6. このチームでは、私の努力の足を引っ張るような行動をわざとする人はいない
  7. このチームのメンバーと協力して、自分の独自スキルと才能が評価され、活用されている

心理的安全性を高めるために個々人ができること

  • 仕事を作業としてではなく、学習するものとして、フレーミングする
  • あなた自身の失敗を認める
  • 好奇心をモデルにして、たくさんの質問をする

Manager Actions for Psychological Safety

  • エンゲージメントのデモンストレーション
    • 会議中、会話に集中する(ミーティング中にノートパソコンを閉じるなど)
    • チームメイトから学習させてもらうという意思で質問する
    • 口頭で答えることで、エンゲージメントを表示します(「それは意味があるので、もっと教えてください」)
    • 身体言語に注意する。話す人の方に向くなど
    • アイコンタクトで、話を聞いていることや、理解を示す
  • 相互理解を深める
    • 途中途中で話を要約する
    • 合意していること/していないことを意識し、質問を受け付ける
    • コメントを口に出す(「わかりました」など)
    • 責任を負う犯人探し(「なぜこれをやったのですか?」)ではなく、解決策に焦点を当てる(「どうすればこの問題を確実にすることができますか?次回よりスムーズに行くのですか?」、「次回のためにゲームプランを立てるために一緒にできることは何ですか?」)
    • 自分自身の表情を考える(否定的な顔をしていないか?)
    • 会話や会合中に理解を示すために、うなづく
  • 対人関係
    • 自分の仕事のスタイルややり方を共有し、チームメイトに同じやり方を促す
    • チームメイトとの距離を縮める(例:追加の1on1、フィードバックセッション、キャリアコーチング)
    • 追加の1on1 /チームミーティングでは目的を明確に伝える
    • チームの貢献に感謝する
    • チームメンバーが他のチームメンバーについて否定的な意見を述べた場合、介入していく
    • 身体を開放した状態にする(例:すべてのチームメンバーと顔を合わせ、背中をグループに戻さない)
    • 親密な関係を構築する(例:チームメイトと仕事以外の生活について話す)
  • 意思決定
    • チームメートからの意見、意見、フィードバックを求める
    • 話を中断するようなことをしたり、中断したりしない(たとえば、誰かが中断したときにステップインして、自分のアイデアが聞こえるようにするなど)
    • 決定の背後にあるプロセス/推移を説明する
  • 柔軟性に欠けることなく自信と確信を示す
    • チームの議論を管理する(チームミーティングでのサイド会話を許可しない、個人的対立をさせないなど)
    • はっきりと聞こえる声で喋る
    • チームをサポートし、チームを代表する(例:リーダーシップとチームワークを発揮し、チームメイトに信用を与える)
    • チームにあなたの挑戦するビジョンを伝え、後押しをしてくれるように依頼する
    • 失敗について。仕事と失敗に関する考え方を共有する
    • チームメイトに危険を冒した挑戦をするように奨励し、リスクはマネージャが負うことを見せる

まとめ

書籍チームが機能するとはどういうことかは、心理的安全性は何なのか?という話が中心でした。一方、このサイトは、google心理的安全性を重要と思うに至った経緯や調査の内容や質問紙の内容が載っていて、実践や現場に近い形で説明がされていて、参考になりました。この質問紙は会社のメンバーでやってみようかなーと思います。

参考までに、拙著の書籍チームが機能するとはどういうことかの感想はこちら。 sleeping-micchi.hatenablog.com